

東文彦の作品
作文
執筆順・( )内は推定執筆時期


執筆順・( )内は推定執筆時期
富士五湖の中でも西湖は、全く異なった世界を見るような気がする。
寂寞(じゃくまく)といった感じだ。
山の影をうつして飽くまで深い湖水の色は、黒ずんだ紺青をしている。
この寂しい小さな湖も、一夏をこの近くに送る僕達や、湖畔に一生を過ごすこの辺りの里人には美しく、懐かしい。
自然の景に恵まれた富士国立公園の中にあって、ただ一つぽつんと取り残されている。
〈鑑賞〉
静かな西湖の様子は、文彦その人の個性と通じ合っているように感じられます。
この作文を書いた時に、文彦本人はそのようなことを考えてはいなかったでしょう。
しかし、西湖という土地の美しさは、故人の姿を想像させる力を持っています。
西湖に行ってみたくなりますね。