執筆順・( )内は推定執筆時期
アルプスの山中で昆虫採集し、研究を続けていた「私」は、ある日、キリスト教の僧に会い、生き物の命を奪うことを批判される。
二人は別の日にも論争を続けていた。
僧が「私」の家に来て、再び言い合いになり、怒ったまま帰ろうとした僧は、家を出て間もなく、突然、隕石が激突し、死んでしまう。
驚いた「私」は宇宙の力の大きさを感じ、宇宙こそ神ではないかと考えた。
「私」はかがんで隕石に触れ、宇宙の偉大さと冷たさを思った。
《鑑賞》
風景の描き方や音の表現がすぐれています。
文彦は日頃、自然科学や神について考えていたのでしょう。
物語としては、不思議な展開になっています。
なぜ隕石が僧に命中したのか、わかりにくいですが、もし昆虫学者に命中していたならば、僧は天罰があたったと考えたでしょう。
人間の小ささと、宇宙の力の大きさを描きたかったのでしょうか。
まだ未熟な面のある作品と思われます。