

東文彦と三島由紀夫のこと
2024-05-07 09:38:00
第4回東文彦研究会を終えて
先日、予定通り第4回東文彦研究会を無事に終えることができました。
活発な議論がなされ、参加者の皆さんにはお礼を申し上げます。
「岬にての物語」にはダヌンツィオ『死の勝利』の影響がないことを実感していただけたと思います。
また、ダヌンツィオとは全く異なる三島の表現のすばらしさも実感していただけたようで、喜んでいます。
昨年、谷川渥さんの『三島由紀夫 薔薇のバロキシズム』で、また久しぶりに三島の「岬にての物語」がダヌンツィオ『死の勝利』を真似して書かれたかのような誤った説が唱えられ始めました。ちくま学芸文庫で本の帯でも大絶賛されていますが、このような勘違い本が堂々と出されることには怒りさえ感じます。
早く正しい認識が広まってほしいものです。
また、同時に、正しい説を広める努力を私もすべきだったと反省しています。正しい論文を書けば、ほっておいても自然と正しい認識が広まるものだと安易に考えていましたが、現実はそうではないですね。
偉い小説家が言っているから、何人もの専門家が言っているからというだけで、しっかり確かめもせずに、誤ったことを自信満々にどんどん吹聴する評論家や出版社がいることに驚きました。
しっかりと三島の作品を読む人は、今の時代には、減ってしまったのではないでしょうか。
三島の表現のすばらしさを、できるだけ多くの方々に知っていただくために活動するということは、私の大事な使命であることを実感しました。早く三島についての誤解が解けるといいな、と思っています。
皆さん、もっと三島の作品をよく読みましょうよね!

